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製品レビュー(PC本体) / デスクトップ

【VAIO type H 特別企画】親しみ安いデザインに優れたスペックを凝縮した新ホームパソコン

type H 解体天国


2005年7月16日
予約・販売情報はこちらから

側面に穴を開けるな! から始まる熱との戦い

[ASCII24] type Hは側面に吸気口の類がありませんよね。よくきちんと冷えるものですね。

[高橋] 解体の見所になるのが、本体の吸気口部分をスッキリ隠してしまっているという点ですね。

[田吉] 従来のスリム型ですと側面に吸気口があるのですが、側面のデザインにもこだわり、側面からは一切穴をなくすというコンセプトでデザインされています。初期段階からデザイナーのコンセプトとして、両側面の白い部分は聖域と言うことで、「穴とかは開けるな」というところからデザインが始まっています。このサイズの筐体でそれは、すごく大変なことです。我々の従来のモデルや他社のものもそうなのですが、だいたい側面に大きな開口部があって、そこからCPU冷却用のフレッシュなエアー(外気)を取り込んで冷やすというのが、主流だと思います。

[ASCII24] 最近では横に穴があっても「しょうがないよね」という感じですね。

[田吉] 我々もその方が設計しやすいのですが、デザイナーのこだわり、我々のこだわりもあって、他社と差別化するために「両側面であろうともデザインを大事にしよう」ということで始めました。
本体は黒と白の部分に大きく分かれていますが、黒い部分に吸排気口やLANケーブル、インジケーターやFeliCaポートなどを全部集めて、白い部分は“聖域”ということで、一切穴を開けなかったわけです。

[ASCII24] そうか。白い部分にはボタンもなにもないんですね。

[田吉] 正直、設計からはかなり反抗したのですが(笑)。デザイナーのこだわりもわかるし、我々も差別化を図りたいということで、こういう設計にチャレンジしました。実際これは相当苦しいですね。両側面に穴を開けずにPentium 4のハイスペックCPUを入れるというのは、相当な挑戦です。

[中村] 両脇に穴を開けなかった理由のひとつには、“レイアウトフリー”というどこにでも置けるマシンという提案している手前もありまして。本来吸気というのは、ユーザーにとって“考える必要のないもの”であり、そういう意味でもサイドに穴があると非常に目立つので、サイドには付けないという方針でやっていました。



放熱設計とデザインを実現するための機構設計が重い

[ASCII24] type HXと比べると、内部のチップセットやマザーボードががらりと変わったわけですが、ハードウェア面で新しいマシンはこうしていこうというコンセプトはございましたか。

[田吉] 今のデザインコンセプトとつながるのですが、パソコンなので基本的なプラットフォームやアーキテクチャーは決まってきますよね。そうなるとこういう商品ですから、放熱設計というのが大きな割合を占めます。デザインコンセプトとつながる“側面には一切穴を開けない”といったことが決まると、それをどう実現するかというのがメインの設計部分になります。やはり設計で一番大きいのは、放熱設計とデザインを実現するための機構設計というのが、一番重たいところではあります。

[ASCII24] ハードウェアをこのサイズの設計に収める際の、重点課題というのは何だったのでしょうか。

[田吉] 側面に穴を開けられないので、いかにしてCPUとか熱の出るものを冷やすかというのが、結構な重点課題でした。従来機では(対象に)近いところからフレッシュエアーを取り込んで冷やすことができた。今回はそれがやりやすいところに吸気穴を設けられなくて、フロントのわずかなところから吸い込んで、わずかなところから出すという設計ですので、いかに空気効率というか、空気の流れを止めないかが課題となっています。
あとで中を開けて見ていただきますが、レイアウトはBTXベースというか、空気の流れをフロントから直線的に取り込んで、CPUとチップセット、MPEGボードを冷やしてそのまま抜けていく。なるべく空気を曲げないというか、効率が落ちないような効率のいい設計をするということをベースに、レイアウトを組んでいます。type HXでは入ってきた風を90度曲げてという、結構複雑な流れになっているのですが、type Hのセットでは吸気から排気まで直線的で無駄がなく、内部のケースファンもない。

[ASCII24] ケースファンはないんですか! 知らなかった。

[田吉] ないんです。CPU専用のファンは中に入っています。あと電源用のファンもあります。その2つだけという意味です。機種によっては内部で空気を回すためのケースファンがありますが、type Hにはそれはない。CPUファンで全部をまかなえるような、そういう設計になっています。

[ASCII24] マザーボードは、ほぼ普通のBTXのレイアウトですか?

[田吉] レイアウト的にはそうです。ただCPUやチップセットがストレートに並んでいるだけで、厳密にはBTX規格とは違いますね。冷却システムがそれに似ているというだけです。

[ASCII24] 吸気はフロントの穴からだけですか?

[田吉] 基本的にはそうです。そこが非常に厳しいんですね。「フロントは穴開けてもいいよ」と簡単にデザイナーは言うのですが、見てのとおり光ディスクドライブのドアがあったり、メモリーカードのドアがあったりすると、残る面積は少ないじゃないですか。その中でいかに吸気を取るかというのは厳しくて、熱設計的には苦しんで揉めました。実際にはフロントだけでなく、細かい工夫として下からも吸って中に入れるとか、細かいところからも一生懸命風を集め、かき集めてかき集めて冷やすと。
たとえば吸気が少なくても、ドライヤーみたいにブンブンとファンを高速で回せば冷えるんです。でも家庭で使っていくうえでは、“静かなセット”というのが求められるじゃないですか。ファンを(技術的には)回せても回せないというジレンマもあり、騒音と熱のマージンというぎりぎりのバランスのところで吸気の幅や穴が決まり、良いバランスでできている製品だと思います。

[ASCII24] ケースファンがないとは驚きました。上のこの穴からも吸っているんですか?

[中村] いちおうサブ的に吸ってはいます。

[内山] 上側に電源ユニットがあるんですが、この部分にわずかに穴がありまして、電源に対する吸排気を一部助ける形になっています。でもメインではないですね。

[ASCII24] 設計は大変でしたか?

[内山] 大変でした(笑)

[田吉] 当初は動くには動くのですが、すごくうるさかったんです。ドライヤーのような音で(笑)。10mくらい離れていてもすごい音が聞こえるので、仕事場でもクレームが出るくらいうるさくて。こりゃまずいなということで、相当に苦しんだものです。結果的には商品化できましたし、騒音レベル的にはtype HXよりも静かになっています。

type Hの解体を開始。まずスタンド部分を外すと、メモリースロットが見える。メモリー増設程度なら、ネジ回しは不要だ
続いてネジ止めされたバックパネルのカバーを外す
続いてネジ止めされたバックパネルのカバーを外す
続いてサイドパネルを外すと、ようやく内部が見える
続いてサイドパネルを外すと、ようやく内部が見える
パネル類を外した状態のtype H。左から本体、サイドパネル、バックパネル、スタンド
パネル類を外した状態のtype H。左から本体、サイドパネル、バックパネル、スタンド

デザイン、コスト、騒音をいいところにまとめた

フタを開けた筐体を前に、空気の流れを説明。内部の密度はかなりのもので、よく冷却できるものだと驚く
フタを開けた筐体を前に、空気の流れを説明。内部の密度はかなりのもので、よく冷却できるものだと驚く

[ASCII24] 確かに、マシンの側でこうしてインタビューしていても、全然動作音は聞こえませんね。

[田吉] 起動時点から音が大きくならないようにこだわって、起動の時に音を抑えるような、回路を加えているんです。

[ASCII24] 回路というのは?

[田吉] 詳しくはお話できませんが、低回転で騒音を抑える仕組みを取り入れています。

[ASCII24] 大抵のパソコンは、電源投入直後はフルパワーで「ブオ〜ン」といった音を立てて回りますよね。

[田吉] ICが持っている機能にそのまま頼ると、そういうことになります。それを別の制御で抑えるような仕組みをとっています。

[ASCII24] type HXよりも静かになった、ターニングポイントみたいな要素はありますか。これを使って画期的に変わった、といったような。

[田吉] 難しいですね。要素はいっぱいあるんですよ、CPUのヒートシンクもそうだし、それを冷やすためのファンもそうだし。吸気を排気をどうするかという、すべてのバランスになるんです。確かにヒートシンクはサイズ的に大きめのものになっているし、ファンにしても80mm角で40mm厚の相当に分厚いもので、ゆっくり回して風圧が確保できるものを採用しています。アイドリング域ではあまり差がありませんが、負荷をかけたときに(騒音に)差が出るような設計になっていて、たとえばDVDを焼くような高負荷の時に、より静かになっています。
サイズを縮小して吸気も少ないけれど、騒音を下げていく。そういうバランスですよね。どれかひとつを実現するのは簡単なんですよ。デザインはいいけどうるさいとか、うるさくないけど穴が空いているというのはできるんですが、それを全部満たすと言うところが難しいんです。あるいはコストをかければ、もっと簡単かもしれない。水冷とかもありますから。でもお客様が買いやすい価格に落とすためには使えない、ということがありますので。デザイン、コスト、騒音と、それぞれの要素をいいところにまとめているのが、今のtype Hだと我々は思っています。

[ASCII24] なるほど。冷却以外になにか苦労された点はありますか。

[内山] 基本的にはスリムとはいえデスクトップなので、基本性能は落としたくない。たとえばCDやDVDを焼いたりという処理はノートパソコンでもできますが、スリムにするためにノート用のデバイスを使ってしまうと、スピードが遅くなるといったことがありますので、そこは妥協したくない。その分大きくなったり面積は食うので、吸気口が少なくなったりといった部分に関わってくるのですが、とにかく基本性能は全部押さえたいというところがメインですね。

[ASCII24] type Hを買われるようなお客様というのは、2スピンドルのスタンダードなノートパソコン、たとえば御社ですと“type A”の“ASシリーズ”になりますが、ノートを選ぶ方よりはスペックに対する要求が高いということでしょうか。

[高橋] ノートを選ぶ方は、すでにパソコンを何年か使われていたりとか、会社ではデスクトップを使いこなしていて、では家のパソコンはどうしようとか、ある程度パソコンを使った経験のある方が買われるのかな、と考えています。一方でスリム型デスクトップのこのカテゴリーは、まだパソコンを使って間もない方や、家族で使われる方の割合がほかよりも多いと思います。
そうすると先に言った安心感にもつながるのですが、スペックもある程度、例えば初心者の方でもわかりやすいのはHDDやCPU、メモリーなど、もうちょっとあったほうがいいかなという気持ちへの安心感で買われているのかなと。
何年か使われた方だと「自分はこのくらいにしか使わないから、これでいい」という具合に、自分の使い方やライフスタイル、パソコンを置きたい使いたい所に応じて商品を選択されるかと思うのです。




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